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美味しいものをつくるには


1月上旬。

身震いする厳しい寒さの中、旧吉田町本町(もとまち)という地域で長年栽培してきた"きゅうり"を生産している農家さんのところへお邪魔してきました。

少し暖かいハウスの中で行っていた"接ぎ木"という作業。

ここで育てているきゅうりは、カボチャの苗と繋ぎ合わせて栽培しているんだとか。

(きゅうりに限らず、トマトやスイカ…接ぎ木して栽培している作物って、意外とたくさんあるそうです。)

病気に強いカボチャと接ぎ木することで、病気に強く、ツヤのあるきゅうりになるそう。

私はこの作業を見て、“職人”のイメージって伝統工芸やクリエイティブな人をイメージしていたんですけど、農家さんも職人なんだなって思いました。

膨大なハウスで育てられている何千本という苗を、一本一本手作業で接ぎ木していくには、長年のコツと経験が必要とされる作業だそうです。

一つひとつの作業を積み重ねて、日々変化する環境と野菜と相談しながらその時々に必要な作業をこなしていくことでやっと生まれるものなんだなと、改めて感じました。

私は高校時代、”白ナス”を食用としてどう普及させていくかという研究・活動の中で、実際に白ナスを栽培していました。

3年間栽培していたうち、2年目の白ナスはほとんど失敗。

見た目の良さを追求すると味が落ちるし、白ナスはちょっとの衝撃でもすぐ傷がついてしまします。

そのちょうど良いバランスを取りながら、たくさんの人に作物を届けている農家さんって本当にすごいんだな~とその時はただ漠然と感じていました。

美味しい野菜が作りだされる裏に隠れた、農家さんの努力や手間ひまかかった作業を見聞きすることが増えてから、こんなにも大変なのか…と感服します。

仕事で取材させてもらっているのですが、きゅうりをつくるだけでも紹介できないくらいの見えない作業がたくさんあります。

1年間、ゆっくりゆっくり時間をかけて取材させてもらい、来年の今頃、なにかのカタチにできればな。

今年は特に野菜の値段が高騰していて、買うもの少し躊躇してしまいますね。

農家さんの知り合いが増えると、よく「野菜を安く買える場所はどこか」と聞かれることがあります。

でも、私は野菜を安く買える農家さんは知らないし、安く買えるところだと紹介はしたくないな。と思っています。

農家さんから買える良さは、なにより安心して美味しいものが買えることです。

種を蒔いてただ毎日水をあげてるだけじゃないんです。

見聞きするだけじゃわからないたくさんの作業を経て生産されるものが、たった数百円で安心して買えるなんて、(私は)安いと思う。

私はいろんな農家さんからたくさん野菜をいただくこともあります。

でも、もらっているだけじゃなくて、自分が(お金を払う)消費者になることが大事だなと思っています。

食は生活の中で切り離せないものです。

確かに食費は節約したいけど、肝心なものにまで節約はしたくないな、と。

食に限らずですが、本当に良いものを、しっかり見極めて選んできたいな~と思いました。

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